GASでグラフを自動作成！EmbeddedChartBuilder.addRangeで業務効率化：定期レポート、メール送信、ファイル操作を自動化

本記事では、Google Apps Script（GAS）のEmbeddedChartBuilder.addRangeメソッドに焦点を当て、グラフ作成の自動化について解説します。特に、定期レポートの作成、メール送信、ファイル操作といった業務における利用シチュエーションに特化した内容をお届けします。これらの処理を自動化することで、大幅な業務効率化を実現できます。

EmbeddedChartBuilder.addRangeとは？

EmbeddedChartBuilder.addRangeは、スプレッドシートのデータ範囲をグラフに追加するために使用されるGASのメソッドです。このメソッドを使用することで、スプレッドシート上の特定の範囲のデータをグラフとして可視化し、レポート作成などを自動化することができます。

構文：

chart.addRange(range)

chart：EmbeddedChartBuilderオブジェクト

range：グラフに追加するデータ範囲（Rangeオブジェクト）

利用シチュエーション別実装方法

1. 定期レポートの自動作成

スプレッドシートに蓄積されたデータを定期的にグラフ化し、レポートを作成する例です。例えば、日々の売上データを集計し、週次レポートとして自動生成する場合などに活用できます。

function createWeeklySalesReport() {
  // スプレッドシートを開く
  const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  const sheet = spreadsheet.getSheetByName("売上データ");

  // データ範囲を指定（A1から最終行まで）
  const lastRow = sheet.getLastRow();
  const dataRange = sheet.getRange("A1:B" + lastRow);

  // グラフを作成
  const chart = sheet.newChart()
    .setChartType(Charts.ChartType.COLUMN)
    .addRange(dataRange)
    .setPosition(5, 5, 0, 0) // グラフの位置を指定
    .build();

  // シートにグラフを挿入
  sheet.insertChart(chart);
}

2. メール送信時のグラフ添付

スプレッドシートのデータをグラフ化し、そのグラフをメールに添付して送信する例です。例えば、KPIの達成状況をグラフで可視化し、関係者に定期的にメールで共有する場合などに利用できます。

function sendKpiReportByEmail() {
  // スプレッドシートを開く
  const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  const sheet = spreadsheet.getSheetByName("KPIデータ");

  // データ範囲を指定
  const dataRange = sheet.getRange("A1:B10");

  // グラフを作成
  const chart = sheet.newChart()
    .setChartType(Charts.ChartType.PIE)
    .addRange(dataRange)
    .build();

  // グラフを画像として取得
  const blob = chart.getAs('image/png');

  // メールを送信
  MailApp.sendEmail({
    to: "recipient@example.com",
    subject: "KPIレポート",
    body: "KPIレポートを添付します。",
    attachments: [blob]
  });
}

3. ファイル操作と連携したグラフ作成

特定のフォルダに保存されたデータを読み込み、グラフを作成して別のファイルに保存する例です。例えば、複数のCSVファイルからデータを集計し、グラフを作成してPDFファイルとして保存する場合などに活用できます。

function createGraphFromCsvFiles() {
  // フォルダIDを指定
  const folderId = "YOUR_FOLDER_ID";
  const folder = DriveApp.getFolderById(folderId);

  // フォルダ内のCSVファイルを取得
  const files = folder.getFilesByType("text/csv");

  // データを格納する配列
  let data = [];

  // 各CSVファイルからデータを読み込む
  while (files.hasNext()) {
    const file = files.next();
    const content = file.getBlob().getDataAsString();
    const csvData = Utilities.parseCsv(content);
    data = data.concat(csvData);
  }

  // スプレッドシートを作成し、データを書き込む
  const spreadsheet = SpreadsheetApp.create("集計データ");
  const sheet = spreadsheet.getActiveSheet();
  sheet.getRange(1, 1, data.length, data[0].length).setValues(data);

  // データ範囲を指定
  const dataRange = sheet.getDataRange();

  // グラフを作成
  const chart = sheet.newChart()
    .setChartType(Charts.ChartType.LINE)
    .addRange(dataRange)
    .setPosition(5, 5, 0, 0)
    .build();

  // シートにグラフを挿入
  sheet.insertChart(chart);

  // スプレッドシートをPDFとして保存（必要に応じて）
  // const pdf = spreadsheet.getAs('application/pdf');
  // DriveApp.createFile(pdf);
}

実用的なコード例

複数のデータ範囲をグラフに追加する

addRangeを複数回使用することで、複数のデータ範囲を1つのグラフに追加できます。

function addMultipleRangesToChart() {
  const spreadsheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  const sheet = spreadsheet.getSheetByName("データ");

  // 複数のデータ範囲を指定
  const range1 = sheet.getRange("A1:B5");
  const range2 = sheet.getRange("D1:E5");

  // グラフを作成
  const chart = sheet.newChart()
    .setChartType(Charts.ChartType.COLUMN)
    .addRange(range1)
    .addRange(range2) // 2つ目の範囲を追加
    .setPosition(5, 5, 0, 0)
    .build();

  // シートにグラフを挿入
  sheet.insertChart(chart);
}

よくある問題とトラブルシューティング

データ範囲が正しく認識されない：getRangeで指定する範囲が正しいか確認してください。A1形式の表記ミス、行数・列数の指定ミスなどが考えられます。

グラフの種類が適切でない：データの種類に適したグラフの種類を選択してください。例えば、割合を示す場合は円グラフ、時系列データの場合は折れ線グラフなどが適しています。

権限エラー：スプレッドシートやDriveへのアクセス権限が不足している可能性があります。スクリプトの実行時に権限の許可を求められるので、適切に許可してください。

カスタマイズ方法と応用例

グラフのタイトル、軸ラベルの変更：.setTitle()、.setXAxisTitle()、.setYAxisTitle()メソッドを使用して、グラフの見た目をカスタマイズできます。

グラフの色の変更：.setColors()メソッドを使用して、グラフの色を変更できます。

トリガー設定による自動実行：GASのトリガー機能を設定することで、特定の時間間隔でスクリプトを自動実行できます。例えば、毎日午前9時にレポートを自動生成し、メールで送信するなどの設定が可能です。

まとめ

EmbeddedChartBuilder.addRangeメソッドを活用することで、GASによるグラフ作成の自動化が実現し、定期レポート、メール送信、ファイル操作といった業務を大幅に効率化できます。本記事で紹介したコード例を参考に、ぜひ業務効率化に役立ててください。

GASでグラフを自動作成！EmbeddedChartBuilder.addRangeで業務効率化：定期レポート、メール送信、ファイル操作を自動化